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症例名

軟口蓋過長症

なんこうがいかちょうしょう

2012年2月2日 木曜日

症状 / 特徴

短頭種におこりやすい病気です。特にマズルが短いパグ・フレンチブルドッグ・ブルドッグ・シーズーでは多く見られ、症状が強く出る傾向にあります。また、チワワ・ポメラニアン・ヨークシャーテリアなどでも軽度なものは見られる事はあります。
先天的にマズルが短いことにより、咽喉頭の構造が詰まり、鼻腔と口腔内を分けている軟口蓋と呼ばれる組織が、気管の入り口に被ってしまい、呼吸がしにくくなります。
犬の場合呼気中から熱を放散させるため、この病態を持っている犬では呼気からの熱の放散がしにくくなり、体内へと熱が蓄熱され熱中症を起こしやすくなってしまう為、注意が必要となります。

軟口蓋過長症 軟口蓋過長症

診断

診察室内における身体一般検査や呼吸に関する詳細な問診と咽喉頭の触診・聴診・視診により仮診断を行います。最終的には、全身麻酔下において、軟口蓋の長さをチェックし、必要があればそのまま手術を行うことになります。

処置

この病態は形態的な問題の為、治療は外科処置となります。
外科手術の方法としては、過長した余分な軟口蓋を鉗子でクリップし、切除を行った後、吸収糸にて止血縫合を行います。
咽喉頭の形態的特徴は個体により全て異なる為、症例にあった切除ラインが重要となります。

経過および予後

切除後1日は絶食となりますが、通常2~3日で退院となります。退院後は呼吸が安定化するので、通常の生活に戻っていただくことができます。
ただし、軟口蓋は生体の一部なので、年単位の時間経過とともに再過長が起きることもあり得ます。

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